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日本中が熱狂した「マイアミの奇跡」で
前園真聖が感じたこと (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai keijiro

「そのことは、なんとなく頭に入っていたけど、現実になるとは思っていなかった。攻撃は『俺ら3人でなんとかするしかない』と思っていた」

 迎えたブラジル戦。前半、攻撃の形はほとんど作れなかった。相手の猛攻にさらされ、守備の時間が長くなった。

 それでも、相手の攻撃はスカウティングどおりで、ピッチ内で混乱は起きていなかった。むしろ、日本は守備に集中し、守備に時間を費やすなかで、守りのリズムをつかみ、川口の好セーブもあって、"やられない"ディフェンスができていた。

 前園も守備に奔走していたが、押し込まれながらも、攻撃への切り替えの瞬間を待って、ゴールを狙っていた。

 後半に入っても、嵐のようなブラジルの攻撃が続いた。体は相当きつかったが、前園の頭の中は冷静だった。

「ボールが取れないし、(マイボールになっても)すぐに奪われて......。『こいつら、すげぇ』って、初めて世界の"本物の力"を見せつけられた。けど、逆に『どっかで(反撃したい)』という思いがあった」

 守りに集中していた日本に、ほんの一瞬、神様が味方した。

 後半27分、左ウイングバックの路木龍次がセンターバックとGKジダの間に山なりのクロスを入れた。その瞬間、同サイドにいた城が猛然とそのボールに飛び込んでいった。

 すると、その動きに反応したアウダイールとボールをキャッチしようとしたジダが激突。ゴール前にこぼれたボールを、伊東輝悦が押し込んだ。

 西野監督が指摘した、最終ラインとGKの連係ミスを突いた歴史的なゴールだった。

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