福田正博が提言!「次のW杯に向けて日本が実施すべき強化策」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by JMPA

 メジャーリーガーの大谷翔平を筆頭に、バスケットボールにはNBAを目指してアメリカで腕を磨いている八村塁など、2m前後の長身ながら、スピードとクイックネス、バネを備えた高い運動能力を持つ選手がいる。ただし、そうした選手はサッカーではなく、野球やバスケット、あるいはバレーボールを選んだ。これが、南米や欧州の強豪国であれば、サッカーが国内のナンバーワン・スポーツであるため、身体能力の高い子どもはサッカーを選ぶ確率が高い。

 日本でも、子どもが最初に憧れて選ぶスポーツがサッカーになるように、Jリーグの魅力を高めながら、体の大きな子どもが、最初にサッカーを選ぶ環境を整えていく必要がある。

 一方で、攻撃に関しては香川真司や乾が、小柄でも、技術力や俊敏性で世界の大柄なDFを相手にしても戦えることを証明した。DFの間でボールを受けて、素早いターンで前を向き、コンビネーションで相手を翻弄して、ハードワークによって数的優位をつくりだしていく。

 ベルギーのルカクのような圧倒的なストライカーがいればいいが、ドイツのような強豪国でさえ、ストライカーはなかなか出てこないのだから、日本代表に望むべくもない。大迫勇也のように体が特別大きくなくても、上手に体を使いながらポストプレーでタメをつくることができるFWを今後も継続して育てていくしかない。

 そして、守備の最後の砦であるGKこそ、大型選手の育成が欠かせない。川島永嗣は185cm、ベルギー代表のティボー・クルトワは199cm、ドイツ代表のマヌエル・ノイアーは193cm、スペイン代表のダビド・デ・ヘアは193cm。強豪国の守護神は190cm台が当たり前という状況にあって、日本人GKは決してサイズに恵まれているとはいえない。

 川島はW杯ロシア大会でファインセーブも見せたが、失点に直結するプレーもいくつかあったことで、海外メディアからもバッシングを受けた。フィールドプレーヤーが決定的なチャンスを外してもあれほど非難はされないが、GKは勝負を決めるポジションだけに、ひとつのミスが目立ってしまう。

 ただ、W杯ロシア大会の公式球は、GK泣かせだったといえる。不規則な変化をするため、川島をはじめ、多くのGKが信じられないようなミスをしていた。

 ポルトガル対スペインでは、デ・ヘアがクリスティアーノ・ロナウドの正面のシュートを捕り損ねて失点。フランス対ウルグアイ戦では、アントワーヌ・グリーズマンのシュートが左に曲がりかけたと思った次の瞬間、真逆に変化。結果、GKが処理をミスして失点してしまった。

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