何度でも見直したいベルギー戦。
「後世に語り継ぐべき歴史的な試合」

  • photo by JMPA

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.30

 4年に一度のフットボールの祭典、FIFAワールドカップロシア大会が閉幕した。この企画では、世界最高峰の大会での世界トップのプレーの魅力、そして観戦術を目利きたちが語り合います。

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。

 今回のテーマは、前回に続きロシアW杯での日本代表のベルギー戦について。試合が動き始めた後半、日本の攻撃のよさ、守備の弱点など、どのような攻防があったのか。ワールドフットボール通のトリデンテ(スペイン語で三又の槍の意)が語り合います。前回記事はこちら>>

連載記事一覧はこちら>>

ベルギー戦、日本の2点目は乾貴士のスーパーゴールだったベルギー戦、日本の2点目は乾貴士のスーパーゴールだった倉敷 後半の早い時間に先制し、さらに追加点で2−0とリードを広げた日本ですが、あらゆるポジションに才能を持つベルギーはいよいよ反撃を強めてきました。ロメル・ルカクのヘディングにゴールを脅かされたシーンもありましたね。

中山 はい。ただそんななかで僕が感じていたのは、ベルギーが2点をリードされた後に焦りが見られるようになったということです。攻撃しているのになかなかゴールが奪えない状況が続き、イージーなミスも目立っていた。それを見て、「ベルギーが自滅してくれるパターンに持っていけるかもしれない」と、淡い期待をしたのがその後の時間帯でした。

倉敷 この時間のベルギーはドリース・メルテンスとヤニック・カラスコのプレーに問題を抱えていました。彼らがこのままでいたらいいなと思ったのですが、やはりロベルト・マルティネス監督はその2人を交代させましたね。コンディションのいいナセル・シャドリと、長身のマルアン・フェライニを入れてきました。小澤さん、ここからの変化について触れて下さい。

小澤 そうですね。日本としてはなるべく2点リードの時間帯を長くしたかったんですけど、まず焦りを見せていたベルギーは、その前に4バックに変えてきました。そこで乾貴士は相手が4バックに変更してきたことを周囲に伝えていましたが、ベンチからその変更に対する具体的な指示は見受けられず、結局日本は全体的にラインが低くなってしまいました。

 そもそも、フェライニとルカクにハイボールを放り込まれたら高さで負けてしまうので、いかにボールを入れさせないか、そしてそのためにラインを上げなければいけなかったわけなので、そこはベンチからの具体的な指示が必要だったと思います。相手が4バックにして最終ラインからビルドアップしてくるなら、大迫勇也と香川真司でセンターバックに対してマンツーマン的にハメる形で行ったほうがよかったと感じます。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る