誤った4年間。西野Jの健闘を「結果オーライ」で片付けてはいけない (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Tsutomu Kishimoto/PICSPORT

 確かに、今大会の日本代表の戦いぶりはすばらしかった。ただし、それはベルギー戦(とグループリーグ1、2戦目)で先発出場したメンバーでの話である。

 先発メンバーを6人も入れ替えたグループリーグ3戦目は、チームとしての機能性が失われ、また、選手交代にしても、全4試合を通じてさほど効果的なカードは用意されていなかった。チームの戦い方が固まる前に、23名のメンバーを決めなければならなかったのだから無理もないが、ベルギーが0-2の状況から、選手交代によって一気に流れを変えたのとは大きな違いがあった。

 わずかな期間の準備では、11人での連係を高めるので精一杯。1カ月でチームがこれほどの成長を見せたことは驚嘆に値するが、その一方で、短期の準備ゆえの限界を露呈したことも認めなければなるまい。

 また、本大会に入ると、日本代表の目標がどこにあるのか、はっきりしなくなったことも気になった。つまりは、大会途中から高望みし始めたように感じるのだ。

 田嶋会長は監督交代を決断した理由を「勝つ可能性を1、2パーセントでも上げるため」と語っていた。また、西野監督にしても登録メンバー発表の席上で「グループリーグは突破したい」と話している。当然、本大会での目標はグループリーグ突破だったはずである。

 にもかかわらず、大会途中、その目標がまだ達成もされていないうちにブレ始めた。

 日本代表は初戦で勝ち点3を手にした。グループリーグ突破が目標(だったはず)の西野監督は当然、先発メンバーを変えることなく第2戦に臨んだ。その結果、勝つことはできなかったが、初戦を上回るような内容で勝ち点1を上積みできた。

 大会前の目標から言えば、第3戦もメンバーを変える必要はなかった。勝てばもちろん、引き分けでも自力でのグループリーグ突破が決まる。つまり、目標は達成されるのだ。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る