「ボールをもらいたがらない」ハリルJ。自信も確信もない負けっぷり
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「現段階で世界一」と評するブラジルとの一戦は、来年のW杯本大会へ向け、日本代表が自らの力量を知る好機だった。
だから、結果はそれほど気にする必要はない。結果以上に重視すべきは、日本がブラジル相手にどんな戦いを挑むのか。要するに、試合内容である。
ブラジルの勝利は、両者の力関係を考えれば、最も起こる確率の高い結果であり、1-3というスコアも健闘の範囲内と言っていいものだったのかもしれない。ところが、肝心な内容はあまりに無残なものだった。
今回のブラジル戦を前に、日本代表にそれなりの期待をかける声もあった。その根拠となっていたのは、これまでの戦いぶりである。
つまり、過去の日本代表は、アジア勢相手ならボールポゼッション率で圧倒し、「強者の戦い方」でねじ伏せることができたが、ひとたび世界の舞台に立つと、「弱者の戦い方」を強いられてきた。だが、今のチームはアジア勢との対戦でも相手の攻撃面での長所を消し、堅守速攻でチャンスを作るサッカーで勝ち上がってきており、世界の舞台でも同じスタイルを貫くことができる。むしろ、相手ありきで布陣や選手を使い分ける「弱者の戦い方」は、相手が強くなってこそ本領を発揮するのではないか、と考えられていたわけだ。
しかし、そんな淡い期待はあっけなく打ち砕かれた。
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