「ボールをもらいたがらない」ハリルJ。自信も確信もない負けっぷり (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 後半に入ると、確かに日本の選手たちはいくらか落ち着いてボールを動かせるようになり、攻撃回数を増やした。

 DF槙野智章のゴールが生まれたコーナーキックにしても、ピッチ中央で長谷部がFW大迫勇也にクサビの縦パスを入れ、そこから左サイドを駆け上がったDF長友佑都にボールがつながった場面から得たものだ。60分を過ぎ、日本が徐々に効果的な攻撃の形を作れるようになったとも言えるが、それ以上にブラジルの選手たちが後半に入り、明らかに緩んだことのほうが大きかった。事実上、前半で勝負が決したことを考えれば、当たり前の現象である。

 ハリルホジッチ監督は、何度も「後半には満足している」と繰り返し、「(後半の)ブラジルが世界一のプレーを見せられなかったのは、日本がそれを出させないプレーをしていたから。選手のパフォーマンスを評価しなければいけない」と話していたが、それはあまりに都合のいい解釈というものだろう。

 DF酒井宏樹が「後半、(日本が内容的に)よく見えたと思うし、実際よくなったが、ブラジルはモチベーションが下がり、フレンドリーマッチなのでケガをしないように、というプレーになっていた」と語ったように、実際にピッチに立ち、ブラジルの強さを肌で感じた選手たちの実感のほうが、おそらく真実に近い。

 長谷部もまた、「後半はブラジルが(ペースを)落とした部分はある」と言い、こう続ける。

「(後半に)前から(プレスで)ハメにいってミスを誘ったことを手応えと言っていいのかどうか。ブラジルが本気で(パスを)回してきたら、かわされていたかもしれないし、(後半の内容なら通用したという)確固たる確信は今日のゲームでは持てない」

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