「ハリルホジッチは日本の監督に向かない」ことが再確認できた2試合 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 日本人選手は自分でシュートを打とうとしない。そんな指摘(批判)をよく耳にする。外国人選手は、周りにフリーの選手がいても自分で強引に持ち込んでシュートを打ってしまうのに、日本人は逆に自分が打ったほうがよさそうな場面でも味方にパスを出してしまう。日本人選手の弱みとして語られる場面だ。

 だが、これは国民性とでも言うべき、気質に沿って起きている現象であり、簡単には変えられない。良くも悪くも日本社会で育ってきた選手を、ピッチ上だけは外国人のように振る舞えと言うのは無理な話だ。

 ならば、これを弱みではなく、強みと考えればいい。仲間のことを考え、規律を持って行動することは、外国人選手が簡単には真似のできない日本人のよさなのだ。

 ハリルホジッチ監督が頻繁に口にする、デュエルについても同じことを感じる。

 もちろん、1対1の局面で負けないに越したことはないが、自らぶつかり合いを挑むようなサッカーはやはり得策ではない。"基本的には"肉体のぶつかり合いは避けるべく、テンポよくボールを動かすという発想がベースであるべきだ。

 今回のハイチ戦にしても、確かに日本のほうがデュエルで劣勢だった。だが、そもそもデュエルの強さが求められる場面が多くなったのは、日本人選手のボールコントロールにミスが多かったからだ。正確にトラップできれば問題ない場面でも、トラップが乱れるから相手に寄せられてしまう。

 にもかかわらず、デュエルの劣勢ばかりに目を向ければ、日本人選手の長所は失われる。やり慣れないことを無理にやろうとするよりも、やり慣れたことを武器にしていくほうがずっと効率がいいし、現実的だ。

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