惨敗のW杯、日本代表へのバッシングが、なぜ城彰二に集中したのか? (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 城が打ちひしがれている頃、日本国内ではW杯3連敗に終わった日本代表に対して批判の声が高まっていた。とりわけ、非難が集中していたのが、城だった。

 あのカズの代わりに"エース"になったにもかかわらず、決定的なシーンを外し、1ゴールも決められなかった。多大なる期待を背負いながら、エースストライカーとしての役割を果たせずに終わった。その責任は非常に大きかったのだ。

 城へのバッシングはプレーだけにとどまらなかった。結果が伴わなかったことで、試合中にガムを噛んだり、笑みを浮かべたりといった、サッカーとはまったく関係ないことまで批判の対象となった。

 それは、テレビ中継の解説を担当した、ある現役選手の発言が大きく影響していた。

「シュートをミスして笑っている姿なんか見たくない。もっと体を張って、自分の仕事をやってほしい。タレントごっこをやっているわけじゃないんだ。ガムを食ってやっている場合じゃないだろう」

 こんなふうに、その選手はW杯で戦う日本代表を痛烈に批判した。テレビを通して試合を見ていれば、城のプレーはそのコメントどおりに受け取られてしまうだろう。何の予備知識も持たない人からすれば、この発言によって、カズを外したことをはじめ、W杯で日本が不甲斐ない結果に終わったことはすべて、「城が悪い」と受け止めたかもしれない。

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