不安の残るシリア戦。あえてハリルJの「よかったこと」を探してみた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 シリアを相手にホームで引き分け。これがW杯最終予選本番だったら、失態のそしりは免れないところだが、これはあくまでテストマッチだ。結果は、ほぼ度外視していい。

 試合内容を好意的に解釈するなら、テストマッチとしての価値を見出せる要素は少なくなかった。

 まずは、DF昌子源の先発フル出場だ。

 はっきり言って、出来は悪かった。失点の場面がクローズアップされがちだが、全体的にボール処理の拙(つたな)さが目についた。鹿島アントラーズでの(昨年のクラブW杯をはじめとする)プレーぶりを考えれば、起用の期待に応えたとは言い難い。だが、こうした経験を重ねていくことが重要なのだ。

 しかも、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、従来の主力であるDF森重真人を招集せず、事実上、「次のイラク戦も含めて、お前に任せるぞ」とのメッセージを送っている。昌子の気持ちを刺激する意味でも、最終予選を前に、テストマッチを効果的に活用した起用だったと言えるのではないだろうか。

後半途中から出場してキレのある動きを見せた乾貴士後半途中から出場してキレのある動きを見せた乾貴士 スペインで好パフォーマンスを見せている、FW乾貴士の起用にしてもそうだ。

 活動期間が短く、クラブチームに比べて組織的な構築が難しい代表チームでは、調子のいい旬な選手を見逃さずに使っていくことは必要なことだ。代表歴は乏しくとも、旬な選手が起用され、自分の特長を発揮できたことは、確実にオプションを増やすことにつながる。テストマッチにあるべき選手起用だった。

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