シリア戦で露呈した危うい中盤。「今野泰幸頼み」で大丈夫なのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 W杯アジア最終予選。前戦のタイ戦に勝利を収めB組の首位に立った日本は、イラク戦(テヘラン)を6日後に控え、シリアと準備のための試合を行なった。イラクは現在B組の5位。一方のシリアはA組4位。順位的にはシリアがわずかにイラクを上回るが、実際のレベルでは互角か、イラクの方が少し上かという印象だ。シリア戦はイラク戦を占う、貴重な試合となった。

 シリア戦でも得点を決めるなど、中盤で存在感を見せた今野泰幸 シリア戦でも得点を決めるなど、中盤で存在感を見せた今野泰幸 試合後のいま、楽観的になるか、悲観的になるかと言えば、後者だ。スコアが1-1だったからではない。運に恵まれず惜しくも引き分けたのならともかく、内容が悪かった。パスは繋がらないは、陣は前に進まないは......。かつて日本が苦戦したパターン(パスを繋ぎボール支配率で大きく上回りながら、決定力不足に苦しむ)とは明らかに異なる。

 弱くなってしまったな、という印象だ。B組の首位に立ったことでひと安心し、気合い不足を露呈させたというのであれば、対処法は難しくない。カツを入れれば済む話だが、事態は思いのほか深刻だと言いたくなる。

 イラク戦のスタメンが見えてこないのだ。特に中盤。香川真司が左肩を脱臼し、出場が難しくなったことも理由のひとつだが、それだけにとどまらない。

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