日本、欧州、米国を知る宇津木瑠美が語る、プロの女子サッカー選手とは (3ページ目)

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

「サッカーの技術ではなく、どうサッカーを捉えるかの器のところはすごく考えさせられました。1、2時間にかける集中力とか。日本では考えられないと思いますが、スタジアムにトイレがないとか(笑)、ロッカー、シャワーがないとかありますから。それでもプロなんだから、プロじゃない選手と同じプレーをしていてはダメ。プロはミスしちゃいけないっていうのをハッキリと言われます。実力社会だから、プロが一番トップにいて、アマチュアと足並みを揃えるってことは絶対にしない。スケジュールもプロ優先で練習も午前中。そこに来られないのはあなたがプロではないから、ということになるんです」

 思えば、10代の頃から宇津木はとにかく自分と向き合う選手だった。「悩みながら生きていくのも私らしいかな」と10代らしからぬ言葉を口にしていたが、常に自分の強みは何なのかを模索し続けていた。それを探しに日本を飛び出したと言ってもいい。答えはなかなか見つからないようだったが、2014年も終わりかけた頃から宇津木にわずかながら変化が見えた。有り体に言えば"迷い"が消え始めたのだ。

「最初は、求められることに対して応えられない自分がダメだって思い詰めてました。『なんでもできる』とよく言われますが、そつなくこなしてるだけ。特別な何かを持ってるわけじゃない。何も持ってない選手は必要ないんじゃないかって。必要とは思わなくても2番手には欲しいみたいな、ね。」

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