それぞれの立場で。永里優季・亜紗乃が描く
「日本女子サッカーの未来」
第一線から退いた永里亜紗乃だからこそ見える世界がある。今も第一線で戦う永里優季だから感じる世界がある。今や異なる立場にいながら相通じるこの2人から、今後何が生まれるのだろうか。
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海外に身を置いているからこその視点で、日本の女子サッカーを語ってくれた永里優季――引退後、帰国してからいろんな形でサッカーにかかわってきた2016年だったと思いますが、整理はもうついてきましたか?
永里亜紗乃(以下、亜紗乃) まだ3割ぐらいは(サッカーを)やりたいんですけどね(笑)。でも、女子サッカーのためにどうしようかともがいているのも悪くないなって思い始めています。
――昨年はリオオリンピックの出場を逃して、今はいろいろ考えさせられる時期でもあります。外から見る姉は?
亜紗乃 いい意味で前よりも気を抜いてやっていいんじゃないかって思います。でも、抜けない性分ですからね(笑)、いつも私は極端に言ってしまうことがあるので今日の試合は全部ドリブルでいってシュートすればいいよ~とかぐらいがちょうどいいのかなと思います。中にいるときは、なんで彼女をもっと生かせないのか、それなら自分がどう生かせるか考えてましたけど、今は外から楽にさせられないかなと考えるようになりました。
――新生なでしこジャパンはどう映っていますか?
亜紗乃 まだ始まったばかりだから、難しいんですけど......。上(の世代)は上で今のポジションを守ってる感じ。下はそれを奪わなきゃいけないっていう気持ちの度が過ぎちゃって、チームのためにできていない感じはします。U-20世代もひとつ上のカテゴリーに上がると苦しいんじゃないかなって率直には思います。
――そのど真ん中にいる優季選手としては?
永里優季(以下、優季) よくも悪くも未知数なところが多いですよね。代表っていうのはこれまでやってきたことを引き継いでいかなかったら、積み重なっていかない組織だと思うんです。監督が変わって今まで積み重ねてきたものは何だったのかってことになってしまったら意味がない。またイチからってなったら時間がないですよね。
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