高倉なでしこジャパンは、
完敗のスウェーデン戦で何を見つけたか (3ページ目)
アメリカ戦ではサイドバックに入った佐々木だったが、スピード勝負で歯が立たず、相当悔しい思いをした。
「アメリカ戦の印象があったので、相手との間合いと最初のポジショニングは気を付けていました」(佐々木)。
このスウェーデン戦ではポジションを上げたことで、本来の攻撃力を見せることができた。押し込まれながらもゲーム中盤に訪れた日本の流れの中で、ゴールを奪えなかったことが悔やまれる。
0-0のまま後半に入ると、開始11分で永里を下げて、有町紗央里(仙台L)を入れ、システムを4-4-2に変更。阪口と熊谷のダブルボランチへと舵を切った。システムの切り替え自体は混乱することなくスムーズではあったが、日本の足が止まりかけると一気に形勢はスウェーデンに傾く。
76分には左サイドからマイナスへ切り返され、最後はロッタ・シェリンに決められて先制を許すと、87分には真ん中を縦パス1本で割られての失点。守備の崩れを止めることができず、終了間際には同様の形から3失点目。終わってみれば0-3の完敗だった。
4-1-4-1は攻守においてスペースが生まれやすい分、日本のパスサッカーにおいては、ハイリスク、ハイリターンとなる。特に練習時から懸念されていたのがアンカーとなる熊谷の両脇に生じるリスク=スペースへの対応とポジショニングだった。誰がどこまでカバーするのか、完全にフィットしていない中でも明確にできる役割はあったはず。
また攻撃面では形はできても最終的に"リターン"が生まれなかった。攻撃面でも、守備面でも、噛み合わせていくには時間が必要だが、修正すべき点を考慮しても、可能性を感じる布陣であったことは間違いない。
4-4-2になってからの動きに関してはもう一度練り直しが必要だ。といっても、こちらはほとんど手つかずの状況のため、それぞれの局面にゆだねられた感があった。どのみち個の対応は避けては通れない。ここでしっかり洗礼を浴びておくのも悪くはない。
「チャレンジで選手を変えたりしているので、自分が思っているようなゲームの流れにはならなかった」と高倉監督は苦渋の弁。マイボールになったときの質、ボールの失い方、ポジショニング、フィジカル面など、多くの課題を挙げた。
いずれも明確な課題ではあるが、やはり気になるのは失点の多さ。現段階で勝率を問題にする必要はないが、チャレンジを継続させるモチベーションのひとつとして"結果"は必要だ。攻撃ならゴール、守備なら無失点――非常にわかりやすい。まだまだ下を向く時期ではないが、疑問を抱くことなく、自らのチャレンジを推し進めるメンタルを保持することこそ、今のなでしこに必要なことなのかもしれない。
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