「マイアミの奇跡」から20年。あの夏の「熱気」は、今はもうない

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 リオデジャネイロ五輪開幕に先駆け、日本サッカー界は大事な"記念日"を迎える。

 1996年7月22日――。アトランタ五輪グループリーグで日本がブラジルに1-0で勝利した試合、いわゆる「マイアミの奇跡」から、今年で20年だ。

20年経っても語り継がれる「マイアミの奇跡」20年経っても語り継がれる「マイアミの奇跡」 もはや1998年に日本がワールドカップに初出場したことを記憶していない世代が、Jリーガーになる時代である。さらに2年前のこととなると、2016年の現在においては、忘却の彼方の出来事なのかもしれない。

 だが、この1勝は、間違いなく日本サッカー史でも1、2を争う「大金星」だった。

 2012年ロンドン五輪でも日本は優勝候補と目されていたスペインに勝っているが、残念ながら、衝撃度では比べものにならない。何せ当時のブラジル五輪代表は、単なる年代別代表に位置づけられるようなチームではなかったからだ。

 1994年ワールドカップ・アメリカ大会で優勝し、1998年フランス大会の予選を免除されていたブラジルは、アトランタ五輪を通じてA代表の強化をも図っていた。

 事実、チームの指揮を執っていたのは、A代表監督も兼任していたマリオ・ザガロ。選手の顔ぶれを見ても、DFロベルト・カルロス、MFフラビオ・コンセイソン、MFジュニーニョ・パウリスタ、FWロナウド(当時の登録名はロナウジーニョ)など、すでにA代表で活躍している選手が揃っていた。

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