高倉なでしこジャパンは、完敗のスウェーデン戦で何を見つけたか (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 アメリカ戦で試した4-2-3-1ではなく、高倉麻子監督がスウェーデン戦に向けて準備したのは4-1-4-1。現地入りしてから取り組んだこの形でキーになるのは、最終ラインの前に入る熊谷紗希(リヨン)だ。これまで代表では長らくセンターバックを担ってきた熊谷のポジションをひとつ上げた。過去にも何度か代表で試されることはあっても、なかなか浸透してこなかったこのシステム。今回も、決して練習段階でぴたりとハマるという状態ではなかった。

 立ち上がりから相手の先制攻撃もあり、なかなかポジションが定まらない。しかし、最初の20分を耐えたあたりから動きが出始めた。右サイドから展開し、増矢理花(INAC神戸)から最後は永里優季(フランクフルト)がシュートを放つ。その2分後には、右サイドハーフに入った佐々木繭(仙台L)のパスを受けた熊谷がドリブルから強烈なシュート。その後も前線へスルーパスを配給するなど、攻撃力の高さを証明した熊谷。チーム随一のボランチ経験を持つ阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)が絶妙なバランサーとなり、熊谷を効果的に機能させる場面もあった。

「自分が大きく振れるというのは長所。作りながらサイド空けてサイドチェンジっていうやり方は今後作っていきたい。守備のときに自分が余ってしまう"もったいない"状況にならないことだけはすごく意識しました」という熊谷。修正すべき点は山積しているにせよ、手応えもあった。

 このシステムの旨味は攻撃面でも現れた。この試合では左サイドハーフに入った永里がタメを作ることで、先発に抜擢された中里優(日テレ・ベレーザ)が中央で小気味いい動きを繰り返すことができた。さらにスペースが生まれた逆サイドを右サイドバックの有吉佐織(日テレ・ベレーザ)が戸惑うことなく活用し、右サイドハーフの佐々木は最前線まで飛び出す思い切りの良い攻撃を展開した。

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