ギニア戦で痛感。サッカー五輪代表「ポリバレントな選手」がいない (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Watanabe Koji

 決して喜田や富樫がダメだったと言いたいのではない。むしろ彼らは経験がないなりに、よくやっていた。だが、リオ五輪ほどの大会で不安なくピッチに送り出せるほどユーティリティであることを、彼らが証明したかと言えば、とてもそうは思えない。

 振り返ってみると、1月のリオ五輪アジア最終予選(アジアU-23選手権)でも、このチームは毎試合のように選手を入れ替えて戦ってはいたが、それは単純に同じポジションの選手を入れ替えるだけのローテーションだった。

 総力戦でアジアの頂点に立ったのは確かだが、ひとりの選手がいくつものポジションでプレーするような起用の仕方はなかった。要するに、ポリバレントとは無縁のチームだったのだ。

 しかし、それは登録メンバーが23名だからできたこと。18名で同じことを再現するのは不可能だ。

 手倉森監督は、DF岩波拓也、亀川が相次いで負傷離脱したチームを「カツカツの状態」と表現し、後半4-3-3に変更したのも「編成上の理由」と、なかば苦肉の策であることを明かした。新たなテストを行なうどころか、どうにか選手をやりくりして試合をこなすので精一杯なのかもしれない。

 いずれにせよ、リオ五輪本番に向けて必要なポリバレントを、このチームはまだ備えていない。少なくとも実際の試合で、それを見せてはいない。にもかかわらず、そのための準備も進まなかった。

 南米、ヨーロッパ、アフリカと、タイプの異なるチームと慣れない環境で戦う経験は、間違いなく選手の糧にはなっている。そもそもこの世代は国際経験が乏しく、加えて今大会の登録メンバーには、1月の最終予選に出場していない選手も少なくない。彼らにとっては何物にも代え難い経験になっていることだろう。

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