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タフさに欠ける五輪代表。現状打破のカギは南野拓実の事例にある (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki アフロ●写真 photo by AFLO

 結局のところ、日本では育成からプロという段階で選手が正しく淘汰されていない。

 日本サッカー界は今、各都道府県内の有力選手のほとんどがクラブユースに入団しているが、プロとして頭角を現す確率は断然、高体連組(高校のサッカー部でプレー)が多い。まさに捻(ねじ)れた実情である。昨年10月のブラジル戦は本田圭佑らをベンチに置き、若手中心だったにもかかわらず、11人中10人が高体連出身者だった。

 戦える才能を見抜けているのか? そう疑わざるを得ず、スカウティングから育成を見直すべきなのかもしれない。選手の値打ちを正しく評価できているのか、不審を抱かざるを得ないのだ。

 例えば世界的代理人のジョルジ・メンデスは、ろくにリフティングもできなかったジエゴ・コスタが17歳のとき、前半で退場した試合でその才能を見抜いている。力強くボールをゴールに運ぶ一瞬だけで、ストライカーとしての価値を判断。迷わず欧州に連れて行っている。

 クラブフロントがプロとして本質を見抜く目がなければ、才能も埋もれる。

 さらに言えば、育成においては、理不尽をはねのけられる反発力をどう養わせるのか、がひとつの鍵になる。獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすというが、バルセロナの指導陣はリオネル・メッシが下部リーグでプレーしていたとき、ベテラン選手からラフなチャージやタックルを受けるのをむしろ奨励していた。なぜなら、その程度で生き残れない選手がトップで栄光を勝ち取ることはできないからだ。

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