やや期待はずれのなでしこ次世代に「チャレンジ精神」はあったのか? (4ページ目)
しかも、限られた時間の中でアピールもしなければならない。猛暑の中、日々の練習ではメンバーが目まぐるしく入れ替わる。選手間には少なからず混乱があったことは否めないが、そういう状況だからこそ、普段通りのプレイではなく、どこか突き抜けたチャレンジ精神が欲しかった。
2連敗後、多くの選手が口にした課題のひとつが“コミュニケーション”だった。
「どこに欲しいのか、どこに欲しかったのか。すべて“ごめん”で終わっていて、次につながっていない。お互いにしっかりとその場で伝えないと……」と自戒を込めて話していたのは有町紗央里(ベガルタ仙台L )。短期決戦だからこそ、スタートから活発なコミュニケーションは必須なはずだった。やれることはあるのに、行動には移さない。どこかしら受け身感が拭えないのも、こういった部分に起因しているように感じた。
佐々木監督が今大会で彼女たちに求めたのは、“堅実なプレイで勝利を重ねること”ではなかったはずだ。今回のような短期決戦でチーム力を見出すことは不可能だ。そうであればと、リスクを冒してまでメンバーを一新した。もともと“そこそこできる選手”だから連れてきているのだ。“そこそこ”できて当然なのである。
指揮官が見たかったのは、“そこそこ感を打ち破るプレイ”ではなかったのだろうか。そういった思い切ったプレイをやり切った選手はごくわずか。誰にでも次のチャンスがある訳ではない。
大会前は「3分の1くらいはリオに絡んでほしい」としていた佐々木監督だったが、やや期待外れ。もう1ステップ上がることができればリオオリンピック予選に間に合う可能性のある選手もいるが、本大会の選手枠は18名という狭き門。そこに食い込むには、ここから並大抵ではない努力が必要だ。良くも悪くも、次世代の現状が現れた東アジアカップだった。
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