やや期待はずれのなでしこ次世代に「チャレンジ精神」はあったのか? (3ページ目)
川村優理(ベガルタ仙台L)にも急激にキャプテンシーが芽生えた。初めて任される牽引役。カナダではついていくだけで必死だった。途中からゲームに入る難しさも身をもって体験した。何より、“なでしこジャパン”のピッチに立つ主力の実力を体感してきたばかりの川村は、“チャレンジなでしこ”との明らかな違いを痛いほど感じ取っていた。
「どうすれば若い選手が緊張感なく、パフォーマンスができるか。どう盛り上げていけばいいのか常に考えさせられた2週間だった」(川村)
常に広い視野を持ち続ける苦しさと、自らもプレイで見せなければいけない緊張感。その結果、ピッチで時に力強く鼓舞し、時に同じ目線に立って励ます川村の姿は見慣れたものになっていく。彼女の中に、なでしこの自覚というものがしっかりと根付いた大会になった。
ただし、やはり全体的には今大会で想定を覆す化け方をする選手は少なかった。
「もうちょっと鍛えれば(アジアのライバルである)あの3カ国にしっかりと勝てる」と、中国との最終戦でようやく勝利を掴んだ佐々木則夫監督はホッと胸をなで下ろしていたが、大会期間中は常に選手たちの“甘さ”を厳しく指摘していた。
この世代は常に先輩選手に引っ張られるようにしてプレイをしているため、いざ、自らが主導権を握る状況になると立ち往生する傾向がある。いくらミスを恐れるなと言ったところで、ピッチでは安全でなおかつ確実なプレイを選択するため、消極的に映る。
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