やや期待はずれのなでしこ次世代に「チャレンジ精神」はあったのか? (2ページ目)
比較にあがった近賀も元々はFWからのコンバート。苦しみながら適応した結果、なでしこを形作る上で欠かせないピースとなった流れがある。このコンバートは京川本人とも話合いを持った上で行なわれており、彼女もまたその可能性に賭けた。が、実際には本職であるサイドハーフで使われないことに複雑な想いもある。
「守備は嫌いじゃないんです(笑)。アシストも好きですし、やりがいはすごく感じます。SBで(プレイの)幅が広がるのはいいこと。でもどこかでなんでって部分もある。悔しい思いもある。」
それでも、最終戦では効果的な守備でピンチを跳ね返したり、味方のミスをカバーリングする場面を作った。そして、ひとたび攻撃に転じると、目の色が変わり、持ち前の攻撃スタイルに切り替わるのだ。
本人には迷いもあるようだが、SBの気質を十分に兼ね備えている。日本の攻撃において、第2の生命線であるSBの人材不足が深刻なだけに、京川自身が腹をくくれば、意外と面白いスタイルを確立できるのではないかと期待したくなる。
"ジョーカー"として十分にアピールしたのが横山だ。佐々木監督は横山のスーパーサブとしての起用にこだわり続けた。
ワールドカップカナダ大会で痛切に感じた"ジョーカー"の不在。勝ち越す、勝ち切るためのシチュエーションが訪れるまで、佐々木監督は横山を中途半端に起用しようとはしなかった。流れを一気に変える力を見せられるかが横山にとってのテストだった。その中で叩き込んだ先制ゴールは、中国に対して、そして指揮官に対しても十分な存在感を示すものだった。
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