なでしこ宇津木瑠美の覚悟。「明日サッカーができなくなってもいい」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 これまで、なでしこのダブルボランチは澤と阪口夢穂(みずほ)の組み合わせが多かったが、今回のW杯では、時間帯によっては澤が必要になるものの、現在の澤が先発して90分プレーするとなるとなかなか厳しい。そのため、フランスリーグのモンペリエで成長を続けている宇津木が起用された。そして、守備力の高い宇津木を入れることで、阪口をより前に押し出すことが可能になっている。今、宇津木の存在が中盤を安定させており、それはチームの強みなのだ。

 ただ、新風とはいえ宇津木は決して若手ではない。88年生まれの26歳で、05年にはすでに代表入りしており、代表歴はもう10年になる。

 負傷のためメンバー入りしなかったロンドン五輪前、つまり3年前は「もう若手ではなくて中堅」と話し、「活躍しなくてはならない」と自らにプレッシャーをかけていた。そんな彼女に、初めて巡ってきた晴れ舞台が今回のW杯なのだ。決勝を前に気持ちを新たにしている。

「(W杯で)自分たちは23人全員で立っている感覚を持って、ピッチに立っています。4年に一度ですし、(今大会で)自分たちやアメリカに負けていった数えきれない選手達がいて、彼女達に恥ずかしくない試合をしたいという思いがあります。もちろん勝敗もありますけど、そうした重みや責任を感じながらやらないと、まったく意味がない」

 長らくサブだった彼女らしいコメントが続く。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る