【なでしこW杯】打倒アメリカを目指して。求めるべきは成熟度

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこジャパンがワールドカップ2連覇をかけて臨んだ決勝は、アメリカの決定力が爆発。2-5というスコアでアメリカが世界を獲った。

大儀見優季と健闘を称えあい、少しの間涙した澤穂希大儀見優季と健闘を称えあい、少しの間涙した澤穂希 5万人を超える観客が集まったスタジアムはほぼアウェー。試合前の集合写真撮影の頃には、スタジアム中が「USA!USA!」とアウェー感に包まれた。なでしこたちは自ら「JPN!JPN!」と連呼。このアウェーな中での決勝を楽しもうとしているように見えた。

 ところが、開始16分で試合の流れは決まってしまった。

「あの勢いに押されないようにしたい」と熊谷紗希(オリンピック・リヨン)が警戒していた通り、立ち上がりから一気にアメリカが押し寄せてくることはわかっていた。それでも、やられてしまった。

 開始早々CKを得たアメリカ。要注意人物であるロイドがスッとポジションを下げる。「何かしようとしていることはわかっていた」とは有吉佐織(日テレ・ベレーザ)。高さで勝負すると思われた次の瞬間、蹴り出されたのはグラウンダーの速いボールだった。そこへ岩清水梓(日テレ・ベレーザ)のマークを振り切ったロイドがピタリと合わせた。その2分後には、FKからこぼれたところを再びロイドに決められ2失点目。さらに14分には、クリアミスを拾われて3失点目。失点のたびに宮間あや(湯郷ベル)が全員を集めて修正を施すも、アメリカの勢いは止まらない。16分にはセンターサークル付近からロイドにロングシュートを決められ、あっという間に4失点。すべてのプランが崩れた。

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