DFの要、熊谷紗希が涙の後に語った「なでしこジャパンの課題」
女子W杯カナダ大会の表彰式が終わり、ベンチに戻るなでしこジャパンの選手達は、優勝したアメリカの歓喜を眺めながら円陣を組んだ。ほどなくして輪が解けた時、熊谷紗希はユニフォームで目元を拭っていた。
「最後、(円陣を組んで)締めたというのもあるし、このメンバーでやれるのは最後なんだなと思ったら......」
世界で2位になった充実感よりも、2-5という大敗の悔しさ。自身2度目のW杯、望んだ結果は得られなかった。
なでしこのDFラインに欠かせない存在となった熊谷 今回のW杯に向けて、熊谷には焦りのようなものがあった。海外でプレーする選手は代表の活動に参加できないことが多く、それはフランスリーグのトップクラブであるリヨンに所属する熊谷も同じだった。
前年のアジアカップでさえ参加は制限され、結局、熊谷は招集されていない。W杯の前哨戦とも言われ、先発の固定に入る3月のアルガルベ杯ではメンバー入りして出場したが、日本は9位に終わった。当時、熊谷はこんな話をしていた。
「(難しいとは思っていたけれど)こんなに難しいのか、というのはありました。とにかく、デンマーク相手でも勝てなくて(1-2)、初戦でだいぶこたえた」
とはいえ、今の実力を把握できたことでよしとするほかなかった。
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