2連覇まであと1勝。復活したなでしこの得点源 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text &photo by Hayakusa Noriko

 ここまで厳密な守備を必要としてこなかった日本だったが、ベトナムと対戦することで、多少のイメージは構築できたはずだ。攻守切り替えの中から組み立てる攻撃は、スペースを取り合うスピードと駆け引きが必要となり、決勝ではさらに攻守がめまぐるしく入れ替わるはずだ。活用できるスペースが広がる分、奪われたときのリスクも高まる。

 準々決勝で中国に1-0、準決勝で地元・韓国に2-1で競り勝ってきている北朝鮮とでは、今大会に入ってからのチーム成熟度に大きな差があることは否めない。

「きっとみんな北朝鮮のスピードやパワーにビックリしちゃうんじゃないですかね。少なくとも、本調子ではなかったであろう初戦の中国以上の力は兼ね備えていると思うので。(ここまでの戦いとの違い)覚悟しています」と川澄は話す。

 それぞれが対峙する相手との間合いを見切ったところから、ゲームは動き出す。中堅が、いかに若手を引き出すように動かしながら、自分たちが思い描く組み立てを実現させていくかが金メダルへのカギとなる。若手は山形から始まった約3週間の実りを示すラストチャンス。これまで許されていたズレや精度のマズさは決勝では命取り。なんにせよ、中途半端なプレイは厳禁。次のなでしこ招集への道を開く90分間にしてほしい。

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