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ガーナ戦後半は無得点。ここから学ぶ若きなでしこの課題 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 アジアの強豪を視野に入れた場合、プレスをかけてこない相手にいくら攻撃を組み立てても、手応えは掴みにくい。出来立てのDFラインは、攻撃してこない相手にラインコントロールもプレスバックも試すことすらままならなかった。日本の効果的な攻撃の一手であるサイドバックのオーバーラップは相手の上げ下げがある中でえぐってこそ効力がある。こういった観点からすれば、アジア競技大会でなでしこジャパンは、ぶっつけ本番でいきなり山場である初戦の中国戦を迎えることになる。

 だが、前半の大量得点と後半の無得点というコントラストは収穫ともいえる。後半にメンバーを入れ替えて、流れが止まることはこれもまた想定内。シビアに言えば、プラス面でもマイナス面でも想定をはみ出すプレイがなかったが、考えようによってはこれでいい。

 敵将は「日本はとてもいいチームだ」と賛辞を送っていたが、今はまだチームにもなっていない。本来の主力が入れば前半のようになり、抜ければ後半のようになる。これが現実であり、この現実を受け入れる必要がある。

 その中でも、若き2トップがわずかながら呼吸を合わせられるようになり、若き中盤がなでしこのピッチに慣れ始め、若き守備陣が力を合わせてラインコントロールをしようと試みる――少しずつ開花のための芽は出始めている。

 ワールドカップは来年のカナダ大会から出場国数が16から24に増える。門戸が開かれたことでこれまで以上にワンサイドゲームも出てくるだろう。実力差があるアジアでも世界でも状況は同じ。その時に自力で打開する力がなければ、主力に潜り込むことなどあり得ない。

 佐々木監督が今回、ベテランを招集せずリスクを負ってまで求めようとしているのはまさにその力だ。トーナメントは選手を大きく成長させる。今はその入口に立ったばかりなのだから、"不十分"を口にするのは時期尚早というもの。アジア大会を終えたとき、どれだけの選手がカナダへの可能性を示すことができたのか、ジャッジを下すのはその時だ。

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