2014.09.15

アギーレJの船出に憮然としていた吉田麻也の心中

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

「ショックで、今はもう先のことは何も考えられない」

 ブラジルW杯で惨敗したあと、吉田麻也は放心状態だった。あれからおよそ2カ月が経過し、吉田はその悔しさを糧にして、一段とたくましくなっていた。所属のサウサンプトン(イングランド)ではレギュラーの座を奪取。アギーレ監督を迎えた新生・日本代表にも招集され、2018年ロシアW杯への第一歩となる2試合でフル出場を果たした。が、チームはウルグアイ戦で0-2と力負けし、ベネズエラ戦は勝ち切れぬまま2-2で引き分けた。

代表の中心選手としての自覚が一段と増していた吉田麻也。――試合後、不満そうだった。

「そりゃ、そうでしょ」

 ベネズエラ戦を終えて、吉田は吐き捨てるようにそう言った。

「2試合とも勝てなかったことがすごく悔しい。監督は結果を気にしなくてもいいと言っていたけど、(2試合とも)ミスを重ねて失点した。ベネズエラ戦では、リードして追いつかれて、またリードして追いつかれてと、リードしたあとの戦い方もよくなかった。攻撃の形も、チャンスも、そんな多く作れたとは思えない。だから、戦えたな、という感覚もないです。むしろ、非常に受け入れ難い引き分けかな、と思います」

 吉田の表情は憮然としたままだった。

 今回、吉田は自らにミッションを課していた。戦術面において、前指揮官のザッケローニ監督と最も異なるのは、アギーレ監督は4-3-3のシステムで中盤の底にアンカーを置いている点である。W杯で浮き彫りになった守備の課題を踏まえて、より強固なディフェンスを確立しようという狙いがあるのだろう。吉田はそのアンカー役(森重真人)とともに、守備の形を確認し、攻守の連係を構築しようとしていた。

「この2試合で特に自分が意識していたのは、アンカーを使いながら、どうビルドアップしていくか、ということ。守備では、いかにアンカーのところで相手の攻撃を摘めるか、ということだった。(2ボランチだった)今までは、相手ボールホルダーの位置によって、サイドバックも(中に)絞って対応していたけど、今回のシステムでは、サイドバックが常に絞ってきて、アンカーとともに相手の攻撃の芽を摘んでいくことが必要になる。そのために(自分は)90分間、しっかりとコーチングしていかないといけない。それにプラスして、ラインの設定とか、プレスのかけどころとかも、試合をこなしながら固めていければな、と思っていた」