ギリシャ戦でも頭が冴えていた内田篤人に一縷の望み (2ページ目)
とりわけ、カウンターへの対応は絶妙。味方が前線に打ち込んだくさびを、敵にインターセプトされた瞬間、彼は常にその前に立ち塞がっていた。大迫勇也の単純なミスパスから逆襲されそうになったときも、彼はもう一度ボールをカットしてカウンター返しを仕掛けている。
どこにボールがこぼれてくるのか――。
90分間、内田は何パターンもイメージすることを怠ることなく、瞬時に最善のポジショニングと予備動作をすることができる。所属するシャルケでは負傷に見舞われ、シーズン終盤に数ヵ月も実戦から離れることになったが、5月末のキプロス戦で復帰したばかりの選手と思えない。
感覚の狂いを修正できるだけの、知性を持っているのだろう。
「うっちー(内田)は、とても頭の良い選手という印象ですね」
ブラジルW杯開幕前にそう語っていたのは、横浜F・マリノスの右サイドバックで、昨季のJリーグ優秀選手を受賞した小林祐三だった。
「例えば左から攻めているとき、右サイドにいながら、どこにセカンドボールがこぼれてくるのか、常に計算していると思います。そしてそのほとんどが成功していますね。それに一般の人には分からないと思いますけど、うっちーは"相手にいい動きをさせない"というのがとてもうまい。相手の走力との兼ね合いだったり、重心のかけ方だったり、いろんなことを想像しているはずです。基本的に守備というのは、やり方を選べないものなんです。ただ、相手の良さを消すことで自分のタイミングで行ける、というのは必ずあると思うんですよ。その点がうっちーは優れているんだと思います」
ギリシャ戦も、内田の頭は抜群に冴えていた。
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