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ギリシャ戦でも頭が冴えていた内田篤人に一縷の望み (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 考えてみれば彼は、本田圭佑、長友佑都、香川真司以上の経歴と実力を持ち合わせた選手である。所属するシャルケの主力を担い続け、チームはチャンピオンズリーグでも上位に進出。高い水準の試合経験のおかげか、トップレベルでしのぎをけずってきた選手だけが見せる「余裕」までも感じさせた。

 ギリシャの選手がかなりラフなプレイをしてきたときでさえ、内田は激高したりせず、笑顔で対処していた。また、転落した相手選手を気遣う場面もあった。相当な自信がなければ、なかなかできない行為である。

 勇と仁を感じた。褒めすぎだろうか。

 しかし勇を奮える人間でなければ、他者に対する慈(いつく)しみの心は生まれない。それは武士道にも通ずる。内田のプレイは賞賛に値するほど清々しかった。それはコートジボワール戦もほぼ同様だった。

 日本代表に退路はない。前に進むだけの戦い。24日(現地時間)、クイアバでのコロンビア戦に向け、内田は一縷(いちる)の望みである。

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