2014.06.21

ギリシャ戦でも頭が冴えていた内田篤人に一縷の望み

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

小宮良之のブラジル蹴球紀行(6)

 ギリシャ戦、有名ビール会社の冠がついたマン・オブ・ザ・マッチには本田圭佑が選出された。しかし雨のナタウで最もフットボーラーとして輝いていたのは、右サイドバックの内田篤人だったはずだ。

ギリシャ戦でも積極的に攻撃に参加していた内田篤人 ギリシャは左サイドに長身でポストワークに優れ、かつスピードもあるサマラスを置き、起点にしようとしていた。内田はそのサマラスに対して適切な間合いを作りながら、前のポジションに入った大久保嘉人と連係し、ほぼ完璧に潰した。また、最高のタイミングで右サイド奥にボールを引き出し、いくつも決定的場面を作っている。香川真司からのスルーパスを受け、ファーポストの大久保に出したクロスは、この日、最もゴールに近づいたシーンだったと言えるだろう。

 内田はサマラスを封じただけでなく、攻撃で相手の攻撃を押し返した。

「全体のバランスを考えながらやっていましたね」

 ドローに終わった悔しさを滲ませ、淡々と語っていた彼の判断は、どれも拍手したくなるほどに正解ばかりだった。