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ギリシャ戦でも頭が冴えていた内田篤人に一縷の望み

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

小宮良之のブラジル蹴球紀行(6)

 ギリシャ戦、有名ビール会社の冠がついたマン・オブ・ザ・マッチには本田圭佑が選出された。しかし雨のナタウで最もフットボーラーとして輝いていたのは、右サイドバックの内田篤人だったはずだ。

ギリシャ戦でも積極的に攻撃に参加していた内田篤人ギリシャ戦でも積極的に攻撃に参加していた内田篤人 ギリシャは左サイドに長身でポストワークに優れ、かつスピードもあるサマラスを置き、起点にしようとしていた。内田はそのサマラスに対して適切な間合いを作りながら、前のポジションに入った大久保嘉人と連係し、ほぼ完璧に潰した。また、最高のタイミングで右サイド奥にボールを引き出し、いくつも決定的場面を作っている。香川真司からのスルーパスを受け、ファーポストの大久保に出したクロスは、この日、最もゴールに近づいたシーンだったと言えるだろう。

 内田はサマラスを封じただけでなく、攻撃で相手の攻撃を押し返した。

「全体のバランスを考えながらやっていましたね」

 ドローに終わった悔しさを滲ませ、淡々と語っていた彼の判断は、どれも拍手したくなるほどに正解ばかりだった。


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