【なでしこ】初戦はドロー。アジア杯優勝へチームはひとつになれるか (2ページ目)
決定的なシーンは43分、DF3人を抱えながら宮間は最後のスルーパスを大儀見へ。シュートはGKに阻まれた。宮間の言う「決めきれなかったのは二人の課題」の場面のひとつであるが、二人のプライドを感じさせる攻撃だった。
ある程度の形が見えたことで、後半の入りは悪くなかったが、それでもゴールネットを揺らしたのはまたしてもオーストラリアだった。64分、エース・デバンナに豪快に決められてしまう。しかしその5分後、日本が反撃の一手を繰り出す。
左サイドでボールを受けたMF川澄奈穂美が上げたクロスが相手のオウンゴールを誘ったのだ。ここまで川澄は中の準備が整うまでサイドで一度ボールを落ち着かせていた。しかし、このときはトップが走り込むタイミングも早く、川澄は迷わずそれに合わせ、流れを止めずに速いボールを蹴りだした。リズムが変わったからこそ、相手にも焦りが生じたのだ。
こうなれば、流れは日本。84分、左SB宇津木瑠美からのボールを川澄がゴール前へ。それをマークを振り切った大儀見が決め、ようやく試合を振り出しに戻した。その後は両者ともにスコアを動かせず、文字通り痛み分けとなった。
出来うる限りの準備はした。けれど、守備から攻撃にかけて、縦、横の関係も含めてまだ固まりきっていない中での初戦。付け焼刃ではアジアの頂点は獲れないということだ。
そんな状況を救ったのは大儀見と宮間のホットラインである。前日の練習から合流した大儀見は、宮間とベトナムに入って一度もコンビーションなど合わせていない。ぶっつけ本番での一発目が、流れを変えるプレイだったのだ。これまで培ってきたものの大きさを見せつけた一本だった。
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