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【なでしこ】初戦はドロー。アジア杯優勝へチームはひとつになれるか (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 願わくば大儀見にはエースとして前半で反撃の一蹴を見せて欲しかったところだが、ここ数日の彼女の負担を考えれば、致し方ないことなのかもしれない。問題はエースがいるのはグループリーグのみということ。大儀見は決勝トーナメントを待たずに、イングランドに戻らなければならない。若手は彼女の気迫と意地を目の前で感じ取ったはずだ。エースが去ったあとは、自分たちでその役割を担わなければ、アジア制覇はありえない。パスに動かされるのでは遅い。パスを引き出す動きが求められる。

 守備においても課題が生まれた。

 ボールを奪えば、すぐさま裏へボールを入れるオーストラリア。しかもこれがシンプルなものだけでなく、ギリギリのところで逆サイドへ切り返すなど工夫をこらす。仕掛けるのもそこで待つのもスピード溢れるストライカーだ。そんなオーストラリアに出来たての日本の最終ラインは翻弄された。

 なでしこのラインコントロールは動きが細かく、かなり早い段階で判断をしなければならない独特かつ高度な技が必要とされる。オーストラリアのようなスピードあるチームと対峙するときはなおさら難しい。

 最終ラインをまとめる岩清水は言う。「先に蹴られたらダメってことは、ラインバックが遅いってこと。すべてがズレてスピードでやられた。オフサイドを取るラインコントロールではなく、ボールを遠ざけるラインコントロールもできればいい。修正はできる」。分析して注意点もわかっていながらハマってしまった失点シーンに悔しさが滲む。

 当然のことながら、終了時の選手たちは一様に厳しい表情を見せた。これが日本の現状だ。続くベトナム、ヨルダンは格下であるが、アジア枠が5つに増えたワールドカップ出場権を手にしようと、強化を重ねている。中一日で行なわれるこの2試合をどう生かすか。もちろんターンオーバーは必須。その中でもチーム作りをしなければならない。決勝トーナメントまで1週間。この形で積み上げるのか、人材を組み直すのか。佐々木監督の決断に注目したい。

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