【なでしこ】2年ぶりのアメリカ戦にドローも、大きな収穫あり (2ページ目)
ところが、あってはならない日本のミスから、ついにスコアが動いた。59分、シュートをがっちりとキャッチした山根。一度熊谷紗希に渡し、再度山根に戻ったところをキックしようとした、そのときだった。鋭くつめてきたルルーの足に山根のキックが当たり、ボールは無情にもゴールに吸い込まれていった。
「あの一個で、ゲームが全部壊れた」(山根)一瞬の隙。ボールをコントロールしてからキックまでのスピードを上げることは日頃から課題としていたからこそ、悔しさも倍増だ。アメリカを相手に好セーブを連発していただけに、悔やみきれないのも当然。GKのミスはどんな些細なものでも失点に直結する恐ろしさが今まで以上に身にしみたはずだ。この痛いほどの山根の後悔を、次につなげる前向きな一歩に変えたのは宮間の同点ゴールだった。
82分、宮間がFKのボールをセットしたのは、いつもの念入りに行なうFK練習よりもかなり遠目の位置。直接狙うには厳しいかと思われるこの距離にGKソロが指示した壁はなんと3枚。それを見た宮間は「この位置でこんなに枚数置くとは......それでいいんだな、ホープ(・ソロ)め!って思って蹴りました(笑)。イメージ通りでした」とライバルとの攻防を制した宮間はニヤリ。無回転のボールは美しい弧を描き、ソロの左手をかすめながらゴール右上に突き刺さる。この宮間の会心の一撃で日本は試合を振り出しに戻した。
アメリカがフィニッシュの精度を欠いたおかげで、なんとかドローに持ち込んだが、やはりオフ明けのコンディションで太刀打ちできる相手ではなかった。
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