なでしこチャレンジ合宿。層が厚い東京五輪世代に期待 (2ページ目)
そんな中、トレーニングで一際大きな声でリードする大滝麻未(24歳)の姿があった。もともと大滝は国内では無名な選手だった。ところが、早稲田大学でのプレイがスカウトの目に止まり、世界屈指の強豪であるオリンピック・リヨンへの移籍が実現。と同時になでしこに招集されるようになった。いわゆる逆輸入の形でなでしこ入りのきっかけを掴んだ珍しいケースだ。
ロンドンオリンピックではバックアッパーとしてチームに帯同し、最後の練習までチームメイトのために敵役を担い続けた。その他のバックアッパーであった上尾野辺めぐみ、有吉佐織らはその後、なでしこジャパンでチャンスを与えられている。しかし、大滝は一からのやり直し、である。国内外で実績を積んできただけに、なでしこチャレンジからのスタートは屈辱なのかと思いきや、全くそうではないようだ。
「なでしこに定着していないっていう事実はしっかりと受け止めています。前は、なでしこでプレイしながらも『自分がここにいていいのかな?』っていう気持ちもどこかにあったから」(大滝)。
一昨年のなでしこ入りをラッキーだと感じたこともあった。それでも、どこかでプロセスを飛ばしてしまっているのではと不安も抱えていたのだ。今、もう一度新たな気持ちでなでしこに挑戦できることを、大滝は楽しみにすら感じていた。
「前は一度ボールを受けられなかったらそれで止まっちゃってたんですけど、今はそこからもう一度動き直すことにこだわってるんです。それはロンドンを経験して感じたこと。今、知識と経験とコンディションがいいバランスなんで、(チャレンジプロジェクトが)本当にいい仕切り直しになると思います」
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