新生U-21総括。ベスト8敗退も悲観する必要はなし

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by Getty Images

 U-21日本代表の世代は2年前、U-19アジア選手権の準々決勝でイラクに敗れ、昨年のU-20W杯への出場を逃している。舞台はそのときと同じ準々決勝。相手も同じイラクという決して低くないハードルを華麗に飛び越えて勢いに乗り、そのままU-22アジア選手権の頂点へと駆け上がる――。そんなシナリオを、指揮官は思い描いていた。

試合中も選手に数多く指示を与えていた手倉森誠監督試合中も選手に数多く指示を与えていた手倉森誠監督 だが、思惑どおりにはいかなかった。86分、それまで辛抱強く耐えてきたディフェンスが、ロングボール1本で破られ、ついにゴールを割られてしまったのである。

「プラン通りだったんだけどね」と、手倉森誠監督は悔しそうに言った。「(U-21代表監督に)就任してわずか2週間でタイトルが獲れるほど、甘いもんじゃない。そのことを、まずは自分に言い聞かせたいと思う」。

 やはり、イラクは強かった。日本は前半、一方的に攻め込まれ、チャンスがまるで作れなかった。ボールを奪っても相手に素早く寄せられて、パスをつなげない。

 前線では鈴木武蔵(新潟)が相手のストッパーに潰され、サポートに恵まれなかった矢島慎也(浦和)は右サイドで孤立することが多かった。頼みの中島翔哉(東京V)も、厳しいマークを受けてシュートまで持ち込めない。日本の最初のシュートは、前半のアディショナルタイムまで待たなければならなかった。

 インサイドハーフ(サイド寄りのセントラル・ミッドフィルダー)に入った喜田拓也(横浜FM)が振り返る。

「相手の9番がゲームをコントロールしていて、そこにプレッシャーを掛けられればよかったんですが、それができないまま45分間が過ぎてしまった」

 そんな展開にもかかわらず、手倉森監督が「プラン通りだった」と言ったのは、守備的に入ってから徐々に攻撃的にシフトして、カウンターで仕留める狙いがあったからだ。

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