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新生U-21総括。ベスト8敗退も悲観する必要はなし (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by Getty Images

 55分、最初の一手として、アタッカーの金森健志(福岡)を右ウイングに投入。右ウイングの矢島を中盤に下げてパスの回りを良くすると、今度は荒野拓馬(札幌)を前線に入れ、ゴール前に飛び出す枚数を増やした。依然としてイラクに攻め込まれていたものの、カウンターから日本がシュートに持ち込む回数も増えていった。決勝点を入れられたのは、こうして迎えた終盤だった。指揮官は言う。

「仕留められるチャンスはあったと思う。あそこで仕留められたら、したたかなチームになれる。そういう勝ち方を狙っていたんだが......」

 たしかに、カウンターから掴んだ好機をモノにしていれば、1-0で勝利したのは日本のほうだったかもしれない。その点で十分、勝機のあるゲームだった。しかし冷静に振り返れば、両チームの実力は、スコア以上の開きがあったのも確か。その点からすれば、この結果は妥当なものだと言わざるを得ない。

 もっとも、現時点では、まったく悲観する必要はない。

 今大会の正式名称は、「AFC U-22チャンピオンシップ オマーン2013」という。

 実はこの大会、2013年に開催される予定だったものがずれ込んで、今年になって開催されている。名称が「2013」となっているのはそのためで、年齢制限も「U-22」となっているが、実際には1991年生まれの23歳までが出場できる。

 ちなみに、リオ五輪の最終予選を兼ねる次回大会は、当初から2016年に予定されているため、次は「U-23チャンピオンシップ」という名称になると言われている。

 日本がこの大会にU-23代表ではなく、U-21代表を送り込んでいるのは、2年後の最終予選を睨んだチーム作りを進めているためだ。今大会でチームを立ち上げ、2年間強化を進めて最終予選に乗り込む――。これが日本の描くプランだ。

 ところが、日本のように考えているのは少数派で、参加16チーム中、U-21代表を送り込んできたのは、他には中国とオーストラリアしかいない。日本がグループリーグで戦ったイランやクウェートにはじまり、ベスト4に進出した韓国やサウジアラビア、そして準々決勝で戦ったイラクも、U-23代表なのだ。

 2年前、U-19アジア選手権で日本を下したイラクは、翌年のU-20W杯でベスト4まで進んでいる。そのときの選手たちに、2歳年上の選手まで加えた今回のイラクは、「大会ベストチーム」とも言われ、原博実日本サッカー協会技術委員長によれば、「23人のメンバー中、A代表経験者が15~16人いる」という。

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