名波浩が絶賛。「エース」本田圭佑のプレイが変わった (3ページ目)

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 膝の怪我を経験してからは、相手との接触を極力避けて、絶妙なポジションをとるようになった、ということを以前に指摘した覚えがあるが、最近はプレイスタイルがさらに進化したように感じられる。味方のためにワンタッチでさばいたり、フリーランニングしたりする場面が明らかに増えた。ゴール前にも、敵DFに悟られないようにフラフラッと入ってきたり、トップスピードで突っ込んできたり、工夫しているのが見て取れた。

 印象に残っているのは、オランダ戦の後半6分、遠藤保仁のパスを受け、反転してミドルシュートを放ったシーンだ。残念ながらバーに弾かれてしまったが、コントロールして「ワン、ツー」のリズムでシュートを打てるのは、プレイに迷いがない証拠。世界基準のタイミングだと言える。

 こうしたタイミングでシュートを打てれば、相手は脅威を感じてラインを上げてくる。そうすると、DFラインの背後にスペースが生まれ、スルーパスが通りやすくなる。本田のシュートは、それほど付加価値のあるプレイだったのだ。

 本田はこの冬、イタリアのミランに移籍すると言われている。同じトップ下のポジションには、現在、好調を維持するカカがいる。カカと横並びになるのか、縦の並びになるのかわからないけれども、本田には変わらず、迷いのないプレイを続けてほしい。それが、本田にとっても、日本代表にとっても、有益なものとなるはずだ。

著者プロフィール

  • 名波 浩

    名波 浩 (ななみ・ひろし)

    1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍

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