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【日本代表】細貝萌
「自分には自分の良さがある。ヤットさんとは違う」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 困惑の表情からは、微かな怒りも見て取れた。細貝は、自分の特徴を十分に理解している。それが評価されて、代表に招集されているというプライドもある。タイプの違う選手と比較されたところで、何も言いようがないのが本当のところなのだ。第一、細貝自身、自らの課題はしっかり把握している。

「日本代表は、ボールを保持する時間がすごく長いんです。だから、守備だけじゃなく、どんどんポゼッションに参加していかないといけない。そのボールを保持しているときに、何ができるのかが、自分の大きな課題ですね。例えば、ラトビア戦では斜めのパスを入れていい形が作れたんですが、そういうパスをもっといいタイミングでたくさん出せるようになれば、自分はもっと成長できるだろうな、と思っています。そのためには、クラブで試合に出て、トライしていかないといけないんですが……。レバークーゼンはポジションも違うし、出場できるチャンスも少なく、難しいですね。そこは、かなりジレンマがあります」

 ボランチというポジションは、自分の個性や能力を発揮するうえで、パートナーも重要になってくる。その点、細貝はどう考えているのだろうか。2010年9月、原博実強化委員長が暫定で代表チームの指揮を取ったパラグアイ戦では、中村憲剛とコンビを組んで出場。「自分は憲剛さんみたいなタイプと一緒にプレイすると生きる」と語ったとおり、試合では高いパフォーマンスを披露していた。

「ヤットさん、長谷部さん、どちらと組むかによって、多少プレイは変えないといけないと思っています。ヤットさんと組むときは、ヤットさんがボールをどんどん受けて散らしてくれるので、自分はボールを持った相手選手にガツガツ行って、奪ったボールをヤットさんに預ける感じです。長谷部さんと一緒にやるときは、自分のやりたいプレイをするだけじゃダメですね。交互に前に出て行ったりして、いろいろと考えてプレイしないといけない。僕自身は、憲剛さんやヤットさんのようなタイプともっとやってみたいけど、監督はそうは考えていないですからね。それは何か考えがあってのことだと思うけど、とにかく今は、ヤットさんと長谷部さんが出ているときと同じように、自分が出たときも安定したプレイができればいいな、と思っています」

 細貝と遠藤のコンビは、遠藤と長谷部と違って、より攻守の役割が明確になり、オプションとしては、十分にありえるものだ。そのオプションが増えるほど、チーム力はついていく。チームの完成度を一層高めるためには、やはり細貝のさらなる成長は欠かせない。

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