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【日本代表】前田遼一「そりゃ、自分で点が取れれば取りたい」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、こうしたプレイは選手間の意志疎通が重要だ。クラブでは頻繁に話し合って、練習を繰り返していくことでコンビネーションを築いていけるが、代表で選手が一緒に集まる時間は限られている。その少ない時間の中で、前田は周りの選手たちとどうやって連係を深めているのだろうか。

「特別なことは何もしていません。練習の中で他の選手のプレイの特徴を覚えて、お互いに話をして、意志疎通を高めていく感じです。『自分はこういう動きをするから、こういうプレイをしてほしい』とか、そういう話もしますね。それに、動き方については監督からも指示があります。例えば、『彼(前田)はこう動くので、周りの選手はこう動け』といった感じで。それからまた、練習で細かい部分をすり合わせていきます。代表は(選手が)集まる時間は短いですけど、能力が高い選手が多いので、(コンビネーション作りには)それほど苦労はしていません」

 そうやって、周囲と確かな信頼関係を築いている前田。ザックジャパンでも、彼の1トップが最も収まりよく見える。だが、昨年10月の欧州遠征のブラジル戦では負傷で戦列を離れた前田に代わって本田圭佑が、先のラトビア戦でも岡崎が1トップのスタメンを務めた。岡崎はゴールも決めて、結果を残した。"指定席"と思われた前田の1トップの地位も決して安泰ではなくなってきている。

「欧州遠征の試合は(映像で)見ました。いいリズムでボールが回っていたと思います。(ラトアビ戦の)岡崎のプレイも、アップしながら『自分とは(動きが)違うな』と思って見ていました。それぞれタイプが違うので、自分とは比べようがありませんが、自分が(代表メンバーから)外されるかもしれないという危機感は、常に持ってやっています。大津(祐樹)とか、若い選手も続々とメンバー入りしてきていますしね。そうした中で、自分が試合に出たら、結果を出したい。チームメイトの信頼を得たい。そういう意識を持って、いつもプレイしています」

 1トップにいろいろなメンバーが試されているとはいえ、前田がそこまでの危機感を持っているとは、意外だった。そのせいか、ラトビア戦の試合のあとも、日本のリズムを変えたことに満足することはなかった。結果が出せなかったことを、何より悔いていた。

「今年初めての(代表の)試合で、45分間出場できたのは良かったですけど、(自分自身の)収穫はあまりないです。やっぱり『点を取れなかった』という悔しい気持ちが大きいです。シュートがポストに当たったのは残念だったし、ゴール前までに詰めた際には、何度か決められるチャンスがありましたから......。そこで決められるかどうか、そこの差がいちばんでかいんですよ。そういうところをしっかり決められたら、と思いますね」

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