2013.03.05

【日本代表】前田遼一「そりゃ、自分で点が取れれば取りたい」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ザックジャパンの前線のポイントとして、前田遼一の存在は欠かせない。ブラジルW杯まで463日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第13回:前田遼一

 2012年9月11日、埼玉スタジアムで行なわれたW杯最終予選のイラク戦(1○0)。前半25分に生まれた唯一の得点は、前田遼一らしいゴールだった。敵陣ゴールライン際に走り込んだ岡崎慎司に、駒野友一がスローインでボールを送り、岡崎がダイレクトで中央に上げたクロスを相手DFの間でいち早く反応した前田がヘディングで決めた。試合後、前田は「練習通り」と淡々と振り返ったが、2009年、2010年と、2年連続でJリーグ得点王に輝いた力を証明する見事なゴールだった。

 ザッケローニ監督は、その得点能力の高さと、前線でポイントになれる存在として、前田を高く評価し、1トップに配置している。前田もその期待に応え、W杯最終予選5試合で3ゴールと気を吐いている。今年最初の試合となった2月6日のラトビア戦(3○0)でも、後半から投入された前田が日本の流れを変えた。

「ラトビア戦では『深さを作ってくれ』とザッケローニ監督に言われました。監督からは毎回、前線でタメを作ったり、自分が動いてスペースを作ったり、(日本の攻撃が)深く攻め込むためのプレイを求められています。それは、チーム(ジュビロ磐田)でもやってきていることですし、(要求されていることが)難しいと感じることはないです。いつも言っていることですが、自分としてはそれにプラスして、ゴールすることを常に心がけています」

 前田が心がけているプレイは、ジュビロの黄金期を築いたストライカー、中山雅史、高原直泰らから受け継がれてきたものだ。前田自身、現在のプレイスタイルのベースは「中山さんから影響を受けた」と語り、それを代表でも実践している。自らおとりになったり、潰れ役になったりして、チャンスを生み出しているのだ。

 昨年11月のW杯最終予選、アウェーのオマーン戦の先制ゴールもそうだった。長友佑都が左サイドを突破すると、前田は相手DFを引き連れてニアに走り込んで中央にスペースを生み出した。そして、そのスペースにフリーで入ってきた清武弘嗣が長友からの折り返しをきっちり決めた。

「あれは、代表で求められているプレイのひとつですね」と、チームの狙いどおりのゴールに、前田も満足そうに笑みを浮べていた。