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【日本代表】長友佑都「焦っている。
今の成長速度ではW杯で優勝できない」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 攻撃に限らず、長友は守備力も高い。8月のベネズエラ戦では、香川のミスから長友の上がったスペースを使われて失点を食らったものの、イラク戦では素早い反応と1対1の強さで相手の攻撃を遮断。左サイドから崩されることはなかった。

「監督には、『左右のサイドバックが2枚同時に上がるのはダメだ』ときつく言われています。あと、これも基本的なことですが、僕のサイドが上がったら、そのスペースはセンターバックがスライドして埋めて、逆のサイドバックが中に絞る。その仕事をサボらず、連動してやるように(監督からは)常々指示されています」

 戦術を消化し、個人の質を着々と高めている長友だが、チーム全体の質についてはどんなふうに感じているのだろうか。

「ザッケローニ監督になって2年、確かに攻撃のバリエーションは増えたと思うし、個人のプレイの質も上がった。守備も安定していると思う。そこに成長の跡は見えるけれども、僕は、まだまだ成長の速度が遅いと感じている。オーストラリア戦は勝てた試合だったし、イラク戦ももっと相手を崩して、2点、3点と奪って、相手にトドメをさして勝たなければいけなかった。アジアの戦いでは、勝ったことだけで満足していたら、世界のトップには行けない。この程度の成長度合いでは、まだまだW杯優勝は狙えない。そのためには、選手それぞれがもっと(高いプレイを)要求していかなければいけないし、自分もさらに突き抜けた存在になっていかなければいけない」

 そう語る長友からは、少し焦りのようなものが感じられた。

「焦っていますよ。ブラジルW杯まで、時間がないですからね。日本の良さである組織力はベースとしてあるけれども、世界のトップに行くには、やはり個の質は欠かせない。そこはもっと高めていかないと。(本田)圭佑とも、時間があれば『どうやったら世界のトップクラスになれるか』という話をよくしているけど、結局最後は“個の質を上げる”というところに行き着きますからね」

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