【五輪代表】木村和司が申す「五輪代表よりA代表優先なんておかしい」 (2ページ目)

  • photo by Yanagawa Go

 かたやJクラブは、協会に頼まれたら素直に協力すべき。Jリーグ(プロリーグ)を作ったのは何のためか、と考えれば、世界で戦える選手を育てるため。つまり、代表を強くするためだからな。それが、結果としてJリーグのレベルアップにつながるわけで、その根本的な部分は忘れてはいけない。

 もちろん、クラブとしたら不満はあるだろう。シーズン真っ只中に、チームの軸となる主力選手を持っていかれるわけだからな、勘弁してほしいと思うのは当然や。

 監督の立場としたら、本当にたまったもんじゃない。本音を言えば、マリノスの選手が代表に選ばれるのは、ワシも嫌だった。日本代表で(栗原)勇蔵がよく招集されたけど、ケガをして戻って来られたりしたら目も当てられないからな。だから、代表の試合はヒヤヒヤしながら見ていたよ。勇蔵が試合で相手と接触したり、足を引きずったりする姿を見ると、「おいおい、大丈夫かよ」って心配になったもんや。

 それは、五輪代表の選手でも一緒。(小野)裕二とか合宿に参加したりしていたけど、オフであれば休んでほしいし、無事に戻ってくるかどうか不安だった。それでよく、原(博実)技術委員長には「うちから(選手を)持っていくなよ!」って、いつも文句を言っていた(笑)。

 まあ、それはそれとして、そろそろ五輪もW杯と同じように、FIFAが重要な大会のひとつとして、世界的に認識させることが大切だろうな。U-23とはいえ、各国リーグでトップクラスの選手が戦っているわけだしな。選手招集に際しては各加盟協会に強制力を持たせるようになったみたいだけど、五輪開催時には各国のリーグ戦も実施しない方向にしていかないと。そうすれば、いろいろな弊害も少なくなるんじゃないか。

 さて、肝心のオーバーエイジだけれども、基本的な考え方としては、点を取る選手、中盤でゲームをコントロール選手、最終ラインを統率できる選手、というのが選出すべき選手のイメージ。いわゆるチームの核となる、センターラインの選手や。そういう考え方をベースにして、チームのウイークポイントを埋めるというよりは、チームにストロングポイントを作る、という意味合いを強くして選んだほうがいいだろうな。

 候補はいっぱいいる。点を取る選手としては、前田遼一や佐藤寿人。岡崎慎司なんかもいい。中盤では、遠藤保仁をはじめ、長谷部誠、中村憲剛、今なら阿部勇樹もいいよな。DFは闘莉王とか槙野智章あたり。五輪代表はおとなしいイメージがあるから、彼らのようなムードメーカーが入ったほうがいいよ。

 また、1対1の局面を打開できる選手というのも魅力。それなら、石川直宏、関口訓充らも候補に挙がる。それと、インテルで活躍する長友佑都もいいね。両サイドできるし、あの運動量は捨て難い。

 とにかく、前線には清武弘嗣をはじめ、原口元気に東慶悟、さらに香川真司や宮市亮、宇佐美貴史や大津祐樹など豊富なタレントがそろう。彼らの力を存分に引き出して、チーム力をアップさせてくれる選手が加われば、メダルの可能性も見えてくる。それだけに、監督にはいい選手を選んでほしいと思うよ。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る