【ワールドカップ2026】予選で散ったスターたち(5)ヴィクター・オシムヘン(ナイジェリア) ー 野性を宿す最終兵器
ワールドカップ2026 予選で散ったスターたち
第5回 ヴィクター・オシムヘン(ナイジェリア)
4年に一度の祭典、FIFAワールドカップ。世界中のサッカーファンが熱狂するこの大会には、国を背負って戦うスター選手たちの輝きが不可欠だ。しかし予選の過酷なサバイバルを勝ち抜くことは、どれほどタレントが揃った国であっても容易ではない。
世界が注目するアフリカを代表する27歳のストライカー、ヴィクター・オシムヘン(ナイジェリア)も、本大会の舞台に立てなかったスターのひとりだ。
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「フィジカル・モンスター」の破壊力
オシムヘンは陸上選手のような爆発的なスプリント能力を誇る「野生的なパワー」と「洗練された技術」を兼ね備えたFWだ。DFの背後を突く推進力、空中戦の高さ、強引にシュートをねじこむパワーで、戦況を一変させる。戦術理解度も高く、前線からのプレスや周囲を生かすポストプレーでもチームを牽引する。
セリエAのナポリ時代には、2022-23シーズンに26得点を挙げてアフリカ人選手として初となる得点王に輝き、同クラブの33シーズンぶりとなるスクデット獲得の立役者となった。
イタリアで確固たる地位を築いた後、現在はトルコの強豪ガラタサライでさらなる進化を遂げている。ここでも驚異的なペースでゴールを量産し、クラブ史に残るスピードで通算50得点に到達するなど、リーグが変わっても止められない存在であることを証明している。
プレーオフで夢破れる
ワールドカップ・アフリカ予選において、ナイジェリアはグループCを戦った。南アフリカやベナンといった曲者が揃う激戦区のなか、チームは勝ち点を積み重ねたものの、結果はグループ2位。アフリカ予選では、グループ1位以外は大陸間プレーオフを勝ち抜いて初めてワールドカップ出場権が得られる。
ナイジェリアはプレーオフでコンゴ民主共和国と激突。2025年11月、モロッコで開催された運命の一戦でオシムヘンは奮闘した。しかし、延長戦の末に1-1で決着がつかずに突入したPK戦で3-4で敗北。オシムヘン、そしてナイジェリア代表の2026年ワールドカップへの道は絶たれた。
その後ナイジェリアサッカー連盟は、コンゴ代表の一部選手に出場資格上の疑いがあるとして、FIFAに対して異議申し立てを行なった。コンゴ民主共和国の国内法における二重国籍の取り扱いを根拠に「不当な選手起用」を主張し、予選結果の無効化を求めたのである。しかし、FIFAによる調査を経てこの主張は棄却され、2022年大会に続く連続でのワールドカップ不参加は、大きなショックとなった。
復活を目指す「スーパー・イーグルス」
オシムヘンにとって、ワールドカップという舞台は依然として未踏の領域だ。アフリカネーションズカップなど大陸レベルの大会で輝かしい実績を残し、2023年にはアフリカ年間最優秀選手にも選出されたが、世界一を決める最高峰の舞台で実力を証明できていない。「スーパー・イーグルス」(ナイジェリア代表の愛称)のスターの、野性味あふれる最高のゴールを4年後に見られるか。

