【プロ野球】パドレスのトッププロスペクトがなぜ日本へ? 2度の手術を乗り越えたオリックス・エスピノーザの逆転人生 (4ページ目)
もうひとつの武器であるナックルカーブを投げ始めたのは2021年。以前はオーソドックスなカーブを投げていたが、友人のラモン・ペレスに握り方を教えてもらうと、しっくりきた。以降、エスピノーザにとって最も空振りを奪える球種になった。
パドレスの「トッププロスペクト」と期待されたエスピノーザは、紆余曲折しながら現在のスタイルを見つけ出したのだ。
「昔の自分は、ただ才能のある子どもだったと思う。でも経験を重ね、2度のトミー・ジョン手術を経て、まったく違う考え方を身につけた。ほかの投手たちから学び、彼らのいいところを少しずつ取り入れ、それを自分のなかに落とし込んでいった。球種やボールの質だけではなく、肉体や精神、ピッチングの組み立て方を含め、以前とは完全に違う投手になったと思う」
エスピノーザの最大の才能は、日々の経験を財産として積み上げていけることかもしれない。だからこそ、年数を重ねるごとに成長している。
「自分は人生の"学び手"だ。毎朝起きるたびに、『今日は何をもっとよくできるか』『何を練習すれば成長できるか』を考えている。もっと成長したいし、自分の投球に武器を増やしたい。その一環として、今はチェンジアップの習得にも取り組んでいる。野球が大好きだからこそ、毎日少しでも成長したいし、学び続けたい。その思いが自分の活力になっているし、野球への純粋な情熱を失わずにいられる理由だと思う」
16歳でプロ入りし、キャリア10年目を迎えた2024年。エスピノーザは人生の転機を迎える。一度も想像したことがなかった、日本からオファーが届いたのだ。
アンダーソン・エスピノーザ/1998年3月9日生まれ、ベネズエラ出身。2014年にレッドソックスと契約してプロ入り。将来を嘱望されるトッププロスペクトとして注目を集めたが、2度のトミー・ジョン手術を経験。パドレス、カブス傘下などでプレーしたのち、24年にオリックスへ入団した。長身から投げ下ろす力強いストレートと多彩な変化球を武器に先発ローテーションの一角として活躍。来日3年目の2026年にはパ・リーグを代表する先発投手へと成長し、安定した投球でチームを支えている。日本への愛着も強く、第一子に「賢造(けんぞう)」と名づけたことでも話題となった。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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