潮崎哲也が憧れの鹿取義隆から学んだ「適当でいい」という名の強さ 「困ったら真ん中低めでいいんだよ」 (3ページ目)
90年の成績を見ると、鹿取は37登板で3勝1敗、24セーブ、45回を投げて防御率3.00。潮崎は43登板で7勝4敗、8セーブ、102回1/3を投げて防御率1.84。登板数に投球回数も違うし、そもそもプロ12年目の鹿取と新人の潮崎を比べられない。だが数字ではない部分、とくにコントロールに関しては、鹿取が数段上と見ていた。そこで潮崎は聞いてみた。
「鹿取さん、困った時、どうされるんですか? やっぱりコントロールに自信があるから、もうキチキチですか?」
「アホか、オレにそんなコントロールあるか」
「え〜? そうですか」
「真ん中だけを狙って、ちょっと低めに投げるんだよ」
まったく意外な鹿取の返答だった。困った時ほど、ストライクゾーンの四隅に狙いどおり投げているのかと思いきや、困ったら真ん中低めに投げているとのこと。じつは潮崎の考えと近しいところがあった。
「『打たれたらどうしよう』とか、『きっちり投げられなかったらどうしよう』とかじゃなくて、もっとアバウトでいいんだなって。僕らから見たら完璧なようなピッチャーなのに、実際にはアバウトな感覚を持っている。『自分からキュウキュウするな。適当でいいんだよ』って教えていただきましたね。で、打たれたら、ハイ、次、次っていう(笑)」
困った時というのは、たとえば、無死満塁でスリーボールになってしまうような、絶体絶命のピンチになった時だろうか。
「いや、もっとピンチじゃない時でも。1点リードしている時の先頭打者。先に2ボールになってしまった。どうしてもストライクがほしい。でも、打たれたらどうしよう、アウトローにきっちりいかなアカン、となるところを『いいんだよ、真ん中低めで』って。そんな、追い詰められて投げることはしなくなりましたね」
【リリーフで一番大事なこと】
"鹿取師匠"に金言を授かった潮崎は、以前よりも自由奔放に投げられるようになり、2年目の91年も10勝5セーブと活躍。92年は鹿取が10勝16セーブで潮崎が6勝10セーブと、チームの3連覇に大きく貢献した。
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