【プロ野球】なぜサトテルの守備は向上したのか? 名手・荒木雅博が佐藤輝明のGG賞初受賞の理由を語る (3ページ目)
── 中野選手は守備範囲も広くて堅実ですが、荒木さんはもっと広かった印象があります。
荒木 阪神の場合、一塁は大山選手なので、一、二塁間の打球をよく捕ってくれますが、当時の中日の一塁は"不動"のタイロン・ウッズでしたから。けっこう働かされましたね(笑)。まあその分、彼はたくさん本塁打を打ってくれましたから。
【派手さよりも安定感】
── 三塁は、佐藤輝明選手(阪神)が昨年両リーグ最多の23失策から今季は6失策と激減し、初めて受賞しました。
荒木 阪神は昨年のチーム85失策(リーグ5位)から、今年は57失策(リーグ最少)へと大幅に改善しました。土のグラウンドを本拠地とするのは阪神と広島(75失策)のみであることを考えると、この数字は大きな価値があります。
ちなみに、巨人は昨年最少の58個から今年は最多の78個になりました。最下位のヤクルトとロッテからは受賞者なしです。やはり「野球に守りが大事だ」ということにチーム成績もリンクするのかなと感じます。
── 具体的に、佐藤選手の守備はどこがよくなったのですか。
荒木 ゴロ捕球が堅実になりましたし、スローイングも安定してきました。田中秀太コーチと共に、緩いショートバウンド、鋭い三塁線の打球処理の練習をかなり積んだと聞きました。
ただ今年に限って言えば、岡本和真選手(巨人)と村上宗隆選手(ヤクルト)がケガで長期離脱し、中日と広島の三塁に関してはゴールデングラブ賞の有資格者(チーム試合数の1/2以上の出場)がいないなど、いろいろと要因がありました。とはいえ、佐藤選手の守備力が上がっているのは間違いありません。
── ショートは、打率3割に到達した泉口友汰選手(巨人)が守備でも奮闘して初受賞です。
荒木 失策数は11個ですが、少しでもファンブルしたら間に合わないポジションですので、この数字なら十分合格点です。派手さはないですが、安心して見ていられます。とにかく堅実というイメージがあります。
3 / 4

