【プロ野球】なぜサトテルの守備は向上したのか? 名手・荒木雅博が佐藤輝明のGG賞初受賞の理由を語る (2ページ目)
── 荒木さんは2007年に盗塁王を獲得するなど、通算378盗塁(歴代11位)を記録しています。盗塁するにあたり、嫌だった投手、捕手は誰でしたか。
荒木 内海哲也さん(元巨人ほか)や久保康友さん(元ロッテほか)は牽制がうまく、クイックも早かったですね。近年は、そうした投手陣のレベルが全体的に上がり、それに伴い盗塁数は減ってきました。捕手はやはり古田敦也さん(元ヤクルト)と谷繁元信さん(元横浜ほか)ですね。捕ってからの素早さに加え、コントロールもよかった。
【二塁コンバート3年目の進化】
── 一塁は大山悠輔選手(阪神)が2度目の受賞です。
荒木 両リーグ最多の244票を集めました。次点はホセ・オスナ選手(ヤクルト)9票、ジェイソン・ボスラー選手(中日)4票です。エレウリス・モンテロ選手(広島)も含め、一塁は強打の外国人選手が多く守りました。ただ、私も一塁は大山選手の一択でいいと思います。
── 一塁はスローモーな選手が守るイメージもありますが、実際は難しいポジションですよね。
荒木 そのとおりです。ワンバウンド送球の捕球、投手からの牽制球、バント処理など、9つのポジションのなかでももっとも守備機会が多く、非常に難しいプレーが求められます。大山選手はもともと三塁を守っていたこともあり、左打者の強烈な打球への反応も速いのが特長です。
── 荒木さんの本職だった二塁は激戦区ですが、結果は中野拓夢選手(阪神)が196票で圧倒的トップ。以下、吉川尚輝選手(巨人)が35票、田中幹也選手(中日)が17票、菊池涼介選手(広島)が17票と、意外な大差がつきました。
荒木 中野選手は、遊撃からコンバートされた2023年に、10年連続受賞中だった菊池選手の牙城を崩し、いきなりゴールデングラブ賞を獲得しました。ただ、私自身も二遊間の両方を守った経験がありますので、当時は「もう一歩下がって捕っても余裕があるのに」と思って見ていました。
しかし今年は、バウンドの合わせ方など、さらにレベルアップして確実にアウトを取っていました。守備範囲も広いですね。とはいえ、守備範囲だけなら田中選手や菊池選手もまだまだ負けてはいません。昨年受賞の吉川選手も華やかさに、堅実さが加わってきました。
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