【部活やろうぜ!】西川愛也を擁した花咲徳栄の甲子園優勝「本当に優勝したの? 俺らが? みたいな感じでした」 (3ページ目)
【栄光から3年半後に届いた衝撃のニュース】
グラウンドで真っ先にチームメイトと抱き合った後、ベンチに入れなかった野球部員たちと喜びを分かち合った。甲子園まで応援に駆けつけてくれた同級生や学校関係者に加え、埼玉県加須市の校舎に凱旋するまでの間、多くの人たちから祝福の言葉をかけてもらった。夢のような時間にこみ上げた感情は、今も西川の財産になっている。
「ひとりでは優勝できないですし、僕だけの力で優勝したわけではありません。甲子園の練習でも、ベンチに入れなかった3年の同級生がずっと支えてくれました。甲子園の夏、暑いんですよ。そのなかでずっと1時間以上、バッティング練習で投げてくれたりして、本当に周りのサポートに支えられました。そういう人がいるからこそ、僕が今、結果を出せたりしているんだなと。今でもそう思いますね」
甲子園優勝の2カ月後、西川は西武にドラフト2位で指名された。だが、高校2年時に負った大胸筋断裂の影響はプロ入り後も続き、不安なく送球できるようになったのは入団6年目の2023年だ。長く苦しい道のりだったが、球団スタッフやコーチ、同僚に支えられた。そうした感謝の気持ちが自分の原動力になることは、甲子園優勝が何より教えてくれた。
ただし、栄光の初優勝はハッピーエンドだったわけではない。
約3年半後、衝撃のニュースが届いた。全国制覇時のチームメイトのひとりが、ある事件を起こして逮捕されたのだ。当時、大きな話題となった。
「花咲徳栄のグループラインで知りました。本当にビックリしました」
その件について、西川は胸中にどんな思いを抱いているのだろうか。
「野球のミスなら切り替えが大事ですけど、人生には切り替えてはいけないこともあると思います。真摯に受け止めて、真っ当に生きていくしかない」
同じ目標を追いかけた仲間だからこそ、西川はそう思っている。
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西川愛也(にしかわ・まなや)
1999年6月10日生まれ、大阪府出身。181センチ・90キロ、右投げ/左打ち。外野手。大阪府堺市の浜寺ボーイズから、埼玉県の花咲徳栄高等学校に入学し、甲子園には3度出場した(2年春、2年夏、3年夏)。3年夏は甲子園の決勝戦で3安打4打点を記録し、同校初、埼玉県勢史上初の優勝に貢献。高卒で埼玉西武ライオンズにドラフト2位で指名された。高校時代に負ったけがの影響で、プロで活躍するまでに時間を要したが、8年目の2025年シーズンに開花。パ・リーグ4位の134安打と同3位の25盗塁を記録した。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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