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【日本シリーズ】阪神・坂本誠志郎「いい試合ではダメ」 山川穂高の被弾の裏にあったスライダー対策の難しさ (2ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

 今季の山川は、調子を落としていた。1割台まで打率が落ち込み、二軍降格も経験した。シーズン終盤こそ復調の兆しを見せたものの、全盛期からはほど遠い状態だった。その影響として最も顕著に表れていたのが、スライダーへの対応力の低下だった。

 今季の山川は、シーズンを通してスライダーを捉える機会が少なかった。ポストシーズンに入っても改善の兆しは見られず、この試合前の時点でスライダーに対して11回スイングしたが、うち6回が空振り。第2戦でスライダーを本塁打にしたが、打ったのは左腕の岩貞祐太からだった。つまり、右投手のスライダーの"空振り率"は、じつに60%に達していた。

 だが、右腕の才木はそのスライダーを打たれた。「投げミスではなかった」と語った才木は、山川との対戦をこう振り返った。

「(スライダーは)狙っていなかったと思います。真っすぐのタイミングでいって、ワンボールからの変化球でちょっと真ん中にいってしまった。あのへんをうまく打てる選手というのは把握していましたが......自分の力不足だと思います」

 きっちりコースに投げきれなかったというのは事実だろう。才木をリードした捕手の坂本は、山川との勝負についてこのように語った。

「(山川は)状態がいいと思いますし、もう少し対策を立てながらいかないといけないなと思っています」

 こちらが「スライダーがポイントだったのではないか」と聞くと、坂本は「ポイントとはどういう意味ですか?」と聞き返し、空振り率の話を持ち出すとこう語った。

「スライダーを空振りしていると言いますが、今はそれがないので......空振りになるような攻め方をしないといけないと思います」

【カギを握る"山川対策"】

 この本塁打で同点に追いつかれると、6回表には一死二塁から3番・柳町達にタイムリー三塁打を浴び、勝ち越し点を許した。おそらく、山川の存在がチラついていたに違いない。

 結局、この日の山川に対しては、本塁打以外の打席は3四球と完全に"苦手意識"を植えつけられる形となった。

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