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【日本シリーズ】完全アウェーの甲子園で見せた執念 まさに11年前の再現、ソフトバンクを救った今宮健太の「神業キャッチ」 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 まさに神業。だが今宮は、そのプレーを自嘲気味に振り返っている。

「周りはファインプレーだと褒めてくれましたが、一発で捕っておけばよかったという話。そうすれば、顔を打つこともユニフォームが破れることもなかったので」

 受け身をとる余裕がなかったため、今宮は外野芝生に顔面を強打。その衝撃の強さは、首元から両鎖骨へと裂けるように破れたユニフォームが物語っていた。

 あれから11年。34歳となった今も、今宮はソフトバンクのショートとしてグラウンドに立ち続けている。ただ今季は、左ふくらはぎ痛を2度も発症し、さらに死球による離脱も重なるなど、故障に苦しんだシーズンだった。

「トレーニングの方法なども、もう一度見直さないといけないですね」

 離脱の間、川瀬晃や野村勇といった中堅選手たちが台頭。チーム内での競争も激しさを増した。そんな今宮が今シリーズでスタメンに名を連ねたのは、この第3戦が初めてだった。

 世の中は諸行無常。だけど今宮はまだまだ元気だ。

 そして今宮といえば「甲子園の申し子」だ。明豊高校時代からスターとして名を馳せた。この球場はやはり今宮を輝かせてくれる。第4、5戦でも目が離せないキーマンとなりそうだ。

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著者プロフィール

  • 田尻耕太郎

    田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)

    1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。

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