【日本シリーズ】完全アウェーの甲子園で見せた執念 まさに11年前の再現、ソフトバンクを救った今宮健太の「神業キャッチ」 (2ページ目)
このプレーも大きかった。だが特筆したいのは、次のプレーである。
二死一、二塁で打者は坂本誠志郎。その5球目、内角高めのカットボールに詰まり、打球は力なく舞い上がった。しかし、内野の土のエリアを越え、外野の芝生へと向かっていく。スタンドの虎党たちが声を上げる。
「これは落ちるやろ!」
「行ったれ!」
その刹那、甲子園を埋めた4万1594人の目に飛び込んできたのは、背走しながらジャンプし、空中で見事にボールをつかみ捕ったショート・今宮健太の姿だった。
「最初は余裕で捕れるかなと思ったんですけど、打球がふわふわふわふわと伸びていく感じだった。最後はなんとかグラブに収まってくれてよかった」
ショートフライで3アウトチェンジ。まさに"スーパー美守"でチームを救ってみせた。
【11年前に甲子園で披露した超絶プレー】
そのプレーに、11年前の記憶が蘇った。ゴールデングラブ賞5度を誇る名手がこれまでに見せてきた数々の超絶プレーのなかでも、これこそが最高峰と言えるものがある。
2014年6月8日、甲子園で行なわれた阪神との交流戦。その日もショートを守っていた今宮のもとへ、阪神・上本博紀の打球が飛んだ。ショートとレフトの間に落ちそうな小フライ。今宮は打球から目を離さず、内野の土のエリアから5、6歩ステップを刻みながら背走。
そして最後は、まるで背面跳びのように体を反らせ、空中で体をひねりながら左手を懸命に伸ばしてボールをつかみにいった。だが無理な体勢だったため、グラブには一度収まりながらもボールはこぼれ落ちた。
それでも次の瞬間、空中にいた今宮は、前のめりになりながらも左肩を反対方向へねじり直し、もう一度グラブを差し出しキャッチ。そのまま地面に叩きつけられるように倒れ込んだが、今度はボールを離さなかった。審判の「アウト」のコールに、甲子園の虎党は一瞬静まり返った。しかし、状況を理解すると、敵ながらアッパレとばかりにスタンド中から大きな拍手と歓声が沸き起こった。
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